SMランド
【SadoのSM小説】
第十三章
この物語はフィックションであり実在の人物機関とはなんらかかわりがありません。
日本絨毯爆撃
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優木中尉と、津島が両側に立ち、他の隊員が離れて壁にへばり付いて、ドアに銃口を向ける。
津島が拳銃を構えて、ドアノブを持ってドアを背中で開ける。
通路に人は居ない。
一つの独房に女が入れられている。
直ぐに、広末秘書と解った。
優木中尉は、独房の鍵の引っ掛かっている金属部を、電子ナイフで切り落とす。
「第二日本帝國の者です。ご心配なく」
優木中尉は、広末秘書に八木中尉の作成した想定図面を見せて、位置関係を確認する。
井上大佐の回転は、二層目の水槽の底を破った。横から基地に向かって進む。
八木中尉の回転は、井上大佐の掘った坑道に沿って、掘り進む。同じ坑道は使わない。
津島は、帝國の女性隊員を、何人か退路の確保に残す。一人が広末秘書を桟橋まで連れて行く。
三つのドアから突入する様に自分の部下を配置する。優木中尉と発信機を付けた二名をドアごとに分散する。
図面と、今の打ち合わせで、真紀子の位置はおおよそ見当が付いている。もう一つ上の階に上がって一気にドアに進む。
優木中尉は、井上大佐に発信機で突入の合図を送る。
津島の合図で、三箇所の扉から一気に突っ込む。
津島の部下は奥の隊員に向けて射撃する。
津島は、真紀子に乗っていた隊員の足を打ち抜く。真紀子に乗っていた隊員は、真紀子から外れて床に転げる。津島の部下二人が真紀子の方に一斉に突っ込む。
優木中尉が、千石直人に左腕の付け根を撃ち抜かれる。
津島の射撃が、千石直人のこめかみを掠める。
「待て!津島!」
湯野中が、女の人質を引き摺り出す。
広末秘書と、一緒に攫われたアンビションの社員である。
「映像は生で放映されているぞ。声は入ってないが。娼国のボディガードが日本人の人質を見殺しに突入したと全世界に非難されるぞ」
津島も部下も怯まない。
「副主席は返す。だからここ迄で引き揚げろ」
津島の部下と帝國の女性隊員一人が、副主席の前に突っ込む。
そこに、井上大佐の回転が突っ込んでくる。女性隊員の発信機の外側に突っ込んだのである。
回転は、津島らの構える反対側の壁から突っ込んで来て、湯野中らと、真紀子の間に止まる。
もう一艇八木中尉の回転もその後ろに止まる。
M18号らが、真紀子にバスロープを掛けて、担いで回転に収容する。
八木中尉の回転は直ぐ後退して、この場を離れる。
津島は、優木中尉を担いで、井上大佐に戻るように合図する。
津島の部下に優木中尉を任せて、津島が殿軍で退却する。
敵は追って来ない。
優木中尉を潜航艇の狭い床に寝かせ、後に広末秘書を乗せて、津島が操縦して水門を潜って地中の川に出る。
潜航艇の方が、回転より早く母艦に着ける。
優木中尉は、銃弾を受けたが、心臓を少し外している。
津島は後ろの艇に構わず、全速で川を航行する。
残りは竹内少尉が指揮を執っている。
弟子屈ハイヤーの地下二階に、もう一つの川から出る出口がある。湯野中らは、負傷者と医務班を残して、四遺体と、松下奈緒美、吉妹美智を積んだ。
この川は細いがオフォーツクに抜ける。
こっちの川も、摩周湖から水は流れ出ているが、摩周湖寄りは細く、潜水艦も小型艇も通行できない。
どこに遺体を流すか、潜水艦の中で会議を開いていた。
礼文あたりに捨てるか、日本海沿岸まで運ぶか、ウトロあたりに流すか、いくつか候補が挙がった。
湯野中は、弟子屈ハイヤーから所在を外に向けたかった。
まだこの基地は使えると考えている。
第二日本帝國も、娼国も乗り込んだ場所を発表するとは考えられない。第二日本帝國は一度公表しているが、弱気の日本とそれなりにトラブルには成っている。
当時は、民自党の麻留内閣で大人しかったが、今は国民党である。既に左前と成った政権とはいえ、強気でくることは間違いない。
まして、娼国は叩かれ易い。
最終的に、今まで摩周湖に捨てた経過から、そう遠くないウトロを選んだ。
そして、湯野中瑞江らが、娼国から三名の人質を拉致した。
これらを交換条件に話し合う余地はある。
津島の操縦する艇が一番先に瑞鶴に帰還した。
続いて北嶋副主席を収容した回転119が帰還する。
瑞鶴の軍医が優木中尉の胸の弾を取り出す。あとは病院へ搬送するしかない。
井上大佐の回転117が戻り、あと一艇准尉の操縦する潜航艇を収容すると、瑞鶴は全速で公海に出る。
まず優木中尉を乗せたジェットヘリが発艦する。
豊後水道にいる空母赤城に一度着艦して、帝國の病院に向かう。
続いて村上副主席、津島ら、娼国の部隊が発艦する。
これも赤城に降りて給油する。さらに南シナ海にいる空母飛龍に降りて、そこから娼国に戻る。
多岐江らの拉致事件に当たるためである。
瑞鶴以下、第二艦隊第二航空艦隊は、公海に浮上して艦隊を組んで帰路に就く。
北嶋副主席は、江崎に挨拶を述べ、帝國の行動に深い感謝の意を表した。
その後、瑞鶴の艦内で納見と三名で会食になった。
二時間遅れて、江崎と納見、北嶋副主席を乗せたジェットヘリが、瑞鶴を発艦する。
「私は、湯野中資本と闘い続けます。テロが出来なくなるまで、湯野中の利益を吸い上げます」
真紀子は江崎に誓うように語る。
「日本に絨毯爆撃の如く、資本を投下しましょう。我々の支配する街だけで配給して、我々の支配する街の中で回収しましょう。風俗に流れるお金を全てこっちで吸い上げましょう」
江崎の提言に、真紀子は自分のこれまでを語り始める。
真紀子がここまで這い上がるのに、どれだけ苦労したか、この躰一つで、男をサーカスのブランコの様に渡って来た。
フェミニストが勝手な社会道徳を作って、出来たのが雇用機会均等法。育児休暇。でもそれにありつけるのは、ほんの一握り。
四大以上を出て、公務員試験に受かるか、一流企業に、正規就職の出来た人だけである。
それ以外は、企業が雇用機会均等法、育児休暇を回避する為、派遣、それ以下の勤務形態に落とされる。そこから這い上がるのは容易な事ではない。
事業仕分の看板と成っている女性代議士、この様な存在は限りなく許せない。
フェミニズムなど要らない。
男と同等に社会に君臨する事など意味がない。
女は女を生かしたやり方がある。
女社長は、野球の左のピッチャーと同じである。社会的に限りなく有利な条件を持っている。
育児休暇も、雇用機会均等法も要らない。
日本社会が親に育児を、子供に介護を強制する事が一番腹立たしい。
生んだ親に子育てを義務付ける事ほど、虐待の大きな要因である。
子供を育てたくない母親は、第三者に子供を渡す事を社会と法律が認めるべきだと思う。本当に迷惑なのは、子育てを放棄したい親の元にいる子供である。
北欧の国のような、福祉社会を求める傾向がマスコミ等に強いが、日本の風土には合わない。
そして、国内的には莫大な借金国でも、対外的に個人、法人は強大な債権国である。
日本はもっと、対外的競争力を強くするべきである。
福祉を強化する事は、必要不可欠だが、年金、子供手当は経済の足を限りなく引っ張る。
不況になる第一原因は、お金が預金に留まる事である。年金、子供手当はその要因そのものとなる。
逆に、失業者、最下層は、買いたい物が買えないのではない。買わなければ成らない物を抑えるしかないのである。
これが消費を大きく低迷させている。
預金、資産の無い最下層のみ保護すべきである。
生活保障のレベルを大幅上げて、直接税を廃止して、消費税を五十パーセントくらいまで上げる。
これで最下層は保護され、年金は死に体と成る。
日本人で、所得のない人、低い人は補填する。最低賃金法は要らない。
働きたくない人は、働かなくなる。
逆に今あぶれていて働きたい人は、単純労働ではないまともな仕事に就ける。
預金のある人、働いてそれなりに収入のある人、老後も収入のある人は、年金子供手当が無ければ、預金に回る金が消費に回る。
預金を切り崩しても、国が生活は保障する。
そして外国人労働力を認める。
単純労働力の輸入を認めることこそ、生産コストを下げ、国際競争力になる。
まともな就職にあぶれた人が、生活保護並の賃金で、雇用不安定な体勢の中で働かされている。
日本人からいくら下げても、日本国内の消費は低迷して、賃金を絞るにも金額に限度がある。
海外から、労働力を輸入した企業には、日本国内での生活保証、寮、食事の提供を義務付ける。最低賃金法を廃止すれば賃金を抑えても問題ない。
ワーキングビザを厳しくして、コマーシャルビザのみ認める。
若い海外の労働力を使って、生産を維持する。彼らは安い賃金でも日本での生活が、賃金の外ならば、国に持ち帰れば高い金である。
これだけでデフレから脱却して、海外から収益を得られて、国は徐々に借金を減らせる。
そして、経済が回復し、製造コストが下がって輸出が拡大すれば、日本人の幹部クラス、インテリゲンチャー的仕事の需要が増える。
真紀子の話に、江崎が反論する部分は殆ど無かった。帝國の将来を案ずる事とは別に、真紀子の存在に、この先の戦略に向けて限りない期待感を抱いた。
「日本が、外国人労働力を安く使って国際競争力を考えることも、直接税を廃止する事もまったく考えられない。我々の支配する都市だけを富ませることだ」
「はい」
真紀子は、確信に満ちた江崎の横顔を見ながら、何の澱みも無い返事を返す。
「そして賃金を抑えて製造コストを下げなければ成らない部分は、都市の外に出す。その部分を海外と競争させれば日本の主権は更に死に体と成る」
「そうですね。日本の経済的絨毯爆撃を促進しましょう。それが限りなく湯野中資本を駆逐することにも繋がります」
「湯野中資本は、我々の支配する新都市を増やすことで、自然に淘汰します。問題は都市の中だけで賃金を撒き、都市の中でそれを回収することです。そして都市の中の人達だけが裕福に生活できることです」
「そして、日本に税金を薄くして、帝國、娼国に利潤を回収して、次の都市に再投資するのですね」
「その通り。家族の町と独身者の街を分断して、市政と警察を抱き込んで、多段階に風俗売春を拡大する」
新都心は、家族の町と独身者の街をモノレールで繋ぐ。それによって主要駅から、この二つの街以外の交通を切り替える。
振興券をばら撒いて、消費を新都心内の店舗に限定させる。家族の町には生活センター、独身者の街は娯楽、飲食店、風俗、ブランドが並ぶ。
周りは過疎にして、農地に戻す。
帝國と娼国に本社を持つ企業の請負会社が、ここにオフィスを持ち、従業員も二つの街に住ませる。
正社員は居ない。役員を除いて、最初契約社員で入り、個人事業の外注者と成る。報酬は本国から振り込まれる。
市の単位で、順次自治権を押さえてゆく。完全に他の都市と差別化を図るのである。
そして独身者の街は、居酒屋、スナック、風俗、宅配売春が盛んになる。
独身の男性は、少し多くなった所得を風俗で満喫する。
女性は若い間、美しい躰で稼いで、金と客を蓄積してステータスを上げ、三十五を過ぎると、若い女を男性に提供する側に回る。
盛りを過ぎた自らはブランド三昧、虚飾に舞う。
日本の高度成長の後、バブル崩壊まで、経済的に豊かだった時代の縮図そのままである。
北島副主席が心底敵視した女性知識層の理想を、資本力で踏みつける資本の投下、経済的日本絨毯爆撃の開始である。
最下層は、日払いのその日暮らしから、給料の範囲で安定したその月暮らしに這い上がる。中間層は預金を失い、給料だけのその月暮らしに落とされる。
だが、帝國、娼国の支配する街に居れば、生活は保障される。
都市に入った者は、帝國、娼国の二次的国民である。
そして日本の主権は、徐々にではあるが、確実に死に体と成ってゆく。
四人の一押し美人店員の遺体と、松下奈緒美、吉妹美智が眠らされたままウトロの漁港付近に流れ着いた。
道警は、野次馬、報道陣を遠ざけ、慎重にロボットを使って検分した。
松下奈緒美、吉妹美智が生きていることが確認され、爆弾の危険が無いことが確認されて、両名は救急車で病院に搬送された。
裸の松下奈緒美、吉妹美智を最初に保護に向かった婦警は、両名の凄惨な刺青に思わず涙を流した。
第二日本帝國も娼国も何も公表しなかった。
湯野中派は、娼国に人質の交換条件として、R国の議席を50対50にする要求を出した。
江崎の、これを飲むようにとの指示に、真紀子は安形にそのまま提言した。
湯野中派は、R国北部と、ゲリラゾーンを本拠に、亜細亜から闇経済の吸い上げに一応の安定を確保した。
第十三章 日本絨毯爆撃 完
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